ひと口に塗料といっても、その種類や材質、用途、機能は様々で、車両用もあれば、船舶や航空機などの大きなものや、プラモデルのように小さなものまで塗料が使われています。
そのうち我々にとって大事なのは建築用塗料です。
塗料の成分(さまざまな樹脂塗料)
塗料が何でできているかと言えば、顔料と、樹脂と、添加剤、そしてそれらを希釈する溶媒(シンナーや水)から成り立っています。
このうち塗料の耐久力を決めている一番の要素が「樹脂」です。
アクリル樹脂塗料
アクリル樹脂塗料は一昔前までは、外壁用塗料の主力で、ほとんどの住宅の外壁は、このアクリル塗料で仕上げられていたといっても過言ではありません。
アクリル塗料は艶や発色性がよく、きれいな仕上がり感が得られる上に、比較的廉価なので、建物の内外で多用されてきましたが、外壁用としては耐久力がおおよそ5~6年から7~8年程度と短いことから、いつの頃からかウレタン塗料にとって代わられるようになりました。
ウレタン樹脂塗料
ウレタン塗料は、アクリル塗料の塗り替え用に多用された時期がかなり続きましたが、これもアクリル塗料に比べて耐久力が多少延びるだけ(7~8年から10年前後)なので、ある時期からシリコン塗料に主力の座を明け渡しています。
ただ、ウレタン塗料は付着力に優れていることから、現在でも木部や鉄部の塗装に多用されています。
また、ウレタン塗料には1液形と2液形があり、1液形というのは主剤を水や弱溶剤(塗料用シンナー)などで希釈すればすぐに使える塗料で、2液形というのは主剤に硬化剤を加えてから使うもののことです。
2液型のメリットは、1液形より付着力が増し、耐久力も増すことです。
また、硬化剤の量を調整することで、硬化速度を調整することもできる点などがあります。
逆に2液形のデメリットとして、一度硬化剤を入れてしまったら、その塗料は使い切らないと硬化してしまい、使いまわしができないので無駄が生じやすいことと、1液形に比べて高価なことです。
なお、公共工事では基本的に2液形塗料の使用が標準です。
シリコン樹脂塗料
塗り替えの主力は、一時のウレタン塗料から、現在ではシリコン塗料に代わってきています。
ウレタン塗料からシリコン塗料に代わった最大の理由は、ウレタンに比べて耐熱性、耐候性が高い(10年前後から15年前後)ことです。
シリコン塗料はウレタンと同じように1液型と2液があるほか、水性もあり、現在では水性、溶剤問わず多用されています。
ところで、2液型というと、職人でも溶剤しかないように誤解している人が多いのですが、水性の2液型シリコン塗料も存在します。
ちなみに関西ペイントの「リベルセラトップSi」などが知られています。
1液型と2液型ではウレタンと同じで、1液型より2液型のほうが高価で、高耐候と言えます。
ラジカル塗料
最近もっぱら外壁の塗り替えで多用されるようになったのが、このラジカル塗料です。
ラジカル塗料は、日本ペイントが最初に開発して命名したものですが、現在では様々なメーカーから同等品が発売されています。
ラジカル塗料というのは、正確にはラジカル制御塗料と言います。
その名の通り、塗料のラジカルを制御できる塗料を指しますが、ラジカルというのは、一般的に樹脂塗料は紫外線に弱く、長期間紫外線を浴びていると塗膜表面が手でこすると白い粉が手につくチョーキング現象(白亜化)が起きてしまいますが、こうした劣化現象をラジカルと呼んでいます。
詳細は省きますが、そのラジカルが起きる最大の原因が、顔料の白を構成している酸化チタンに起因するようで、その酸化チタンの働きを制御・抑制したものがラジカル塗料と呼ばれるものです。
ちなみに日本ペイントのカタログによれば、ラジカル塗料の「パーフェクトトップ」は、水性1液塗料ながら、シリコン塗料とフッ素塗料の中間程度の耐候性(15年前後)があると主張しています。
なお、クリヤー塗料(透明塗料)には顔料が含まれていないので、チョーキング現象は起きません。
フッ素樹脂塗料
樹脂塗料最強の塗料で、耐熱・対候性に優れている(20年前後)ことから、公共施設などにも多用されている塗料です。
フッ素塗料は耐久性に優れていいるだけでなく、発色がよく美しい仕上りが得られることや、塗膜が水になじみやすいので汚れが付きにくいなどの特徴も備えています。
無機塗料
ごく最近になって、フッ素塗料をしのぐ塗料として登場したのが無機塗料です。
無機塗料というのは、文字通り無機物(石などの鉱物)を加えて、従来の樹脂塗料を上回る耐久性を得ようとするものです。
従来の樹脂塗料は、生物由来の有機物 (古代の生物が化石化してできた石油などから作られている)で、プラスティック製品などと同じような生成過程を経て作られています。
こうした生物由来の樹脂塗料は紫外線に弱いという弱点を持っています。
一方、無機物の石などの鉱物は、かなり長期間紫外線を浴び続けても劣化しにくいので、無機物を塗料にすることができれば高耐候性塗料が可能になるという思想のもとに開発された塗料ですが、無機物だけで塗料にすることはできませんので、樹脂塗料に無機物を加えたハイブリッド塗料ということになります。
こうした無機塗料も、最近では各塗料メーカーから様々な商品名で発売されるようになってきていて、そうしたメーカーの中には耐久年数が30年と主張しているメーカーも存在します。
その他の塗料
今までに挙げた塗料以外に、ウッドデッキや木製の塀など、木目を活かした塗装をする場合に用いられるのが、オイルステインです。
オイルステインというのは木材の着色剤のことですが、現在のペンキと大きく違ってるのは、現在のペンキは顔料で着色された主剤をシンナーや水で希釈して使うのに対して、オイルステインは、ボイル油(またはシンナー)を顔料で着色して使用するものです。
なぜボイル油が主で、シンナーがその代用かというと、ボイル油はシンナーのように早く揮発しません。
それにボイル油は植物油なので、木になじみやすく、木目の奥までしみこんでくれるためです。
現在では、こうしたオイルステインに防腐効果や撥水効果を付加したものも販売されています。
またこうしたオイルステインの上に、色抑えや艶出し効果を求めてクリヤー塗装(いわゆるニス仕上げ)をすることがありますが、このクリヤー塗料にも1液形・2液形のウレタン塗料のほか、漆の代用品として知られる「カシュ―」などもあります。
水性塗料と油性塗料
水性と油性どっちがいいの?
などと問われることが度々ありますが、この質問にはあまり意味がありません。
なぜなら、どちらが優れているかなどと比較する性質ではないからです。
それと、水性と油性と書きましたが厳密にいえば油性塗料というのは、現在では先ほどのオイルステインなどにボイル油(亜麻仁油)が使われているくらいで、現在、純粋な「油」を使って希釈している塗料というのはほとんど見あたりません。
現在、油性塗料と呼ばれている塗料のほとんどがシンナーを使う溶剤塗料のことです。
さて、その溶剤塗料と水性塗料の比較ですが、溶剤塗料は付着力に優れていますが、塗膜は薄付きです。
一方水性塗料は付着力が溶剤塗料に劣りますが、塗膜は肉厚です。
こうした性格から、溶剤塗料は木や鉄だけでなく、外壁や屋根にも使うことができる、ある意味オールマイティーな塗料と言えます。
一方の水性塗料は無臭で肉の厚い塗膜が得られますので、木や鉄を除く外壁や屋根などに多く使われています。
職人によっては、あたかも水性塗料は溶剤塗料より劣っているかのようにいう人もいますが、いわれのない偏見と言えます。
なぜなら、幼稚園や保育所、病院、学校、図書館…などでは基本的に溶剤塗料不可です。
だからと言ってそれらの施設が、短期間に劣化したり、膨れや剥がれが発生したなどということを耳にしたことはないはずだからです。
1液形塗料と2液形塗料
塗料は基本的に1液形と2液形に分かれますが、1液形というのはシンナーや水で希釈したらそのまま使える塗料のことで、2液形というのは主剤と硬化剤を混ぜ合わせたものを水やシンナーで希釈して使う塗料のことです。
2液形は1液形より付着力が増し、耐久力も増しますが、一度硬化剤を入れてしまうと硬化が始まってしまうので、次の日に使うということができないので、無駄が発生しやすく、1液形より高価なのがデメリットです。
機能性に特化した塗料
光触媒塗料
光触媒塗料は、塗料メーカーが開発したものではなく、陶器メーカーの「東陶」が開発したものですが、今では塗料メーカー各社からも発売されています。
光触媒塗料というのは、紫外線を利用して外壁に付着した汚れを雨水とともに流してしまうもので、長期間美観を保つことのできる塗料のことです。
塗膜そのものも耐久力の優れたものなので、塗り替え周期を長期間に設定することが可能です。
遮熱塗料
遮熱塗料というのは、太陽光を反射して、太陽の熱を吸収しにくくする塗料で、屋根だけでなく外壁用もあります。
塗料メーカが競って遮熱塗料を販売しているので、メーカーによって遮熱効果や、効果期間にばらつきがありますので、見積り時に事前確認なさることをお勧めします。
遮熱効果によって、自治体の補助金に影響します。
断熱塗料
遮熱塗料と断熱塗料の決定的な違いは、遮熱塗料は太陽の熱を反射して内部の温度を下げることができますが、内部の熱を保つことはできません。
これに対し、断熱料は太陽の熱を遮断するだけでなく、内部の熱を外に逃がさない効果もあることです。
遮熱塗料は夏限定ですが、断熱塗量は季節に関係なく内部の温度を一定に保つ効果があるので、省エネ効果に優れた塗料です。
撥水性塗料と親水性塗料
撥水塗料というのは、水が玉のようになってはじかれる現象の塗料を指しますが、親水塗料というのは、それとは逆に水になじみやすい塗料を指します。
この違いが外壁にどんな影響をもたらすかというと、撥水塗料の場合、雨水は水滴になって壁を伝って流れ落ちますが、流れ落ちるときに水滴は汚れた部分を通過して、筋道を作ってしまうので、いわゆる雨だれ汚れを作ってしまいます。
これに対し親水性塗料というのは、水になじみやすい性格を持っているので、雨水は壁全体を流れ落ち、その時に水と一緒に汚れも流れてくれるという効果があります。
こうしたことから、現在の外壁用塗料のほとんどが親水性をうたっています。
もちろんお客様が望めば、撥水塗料での塗装も可能です。
塗料メーカー
日本にはかなりの数の塗料メーカーが存在しますが、その中でも「日本ペイント」「関西ペイント」「SK科研」は日本の3大メーカーです。
この3大メーカーの中でも、こと建築用塗料に限るとSK化研が国内シェアーナンバー1と言われています。
この3大メーカーのほかに名を挙げると「日本特殊塗料」「東日本塗料」「大日本塗料」「日進産業」「ロックペイント」「水谷ペイント」「アステックペイント」「AGCコーテック」「菊水化学産業」…等々の他に、完全な塗料メーカーではありませんが、ジョリパットの「アイカ工業」などもあります。
これらのほかにもまだまだ沢山の塗料メーカーが存在していて、どこが”優れている”とか、”優れていない”などというレベルでの比較は意味がありません。